女性は鉄不足、とよく耳にすることはありませんか?

5大栄養素のミネラルの1つである「鉄」は、女性が不足しがちな栄養素であることもよく知られています。

鉄は身体の中で、赤血球を作り出したり、全身に酸素を運ぶ役割を担ったり、体内の代謝酵素の働きを助けてくれる栄養素です。重要な働きを持つ「鉄」ですが、現代の女性は食生活の偏りや過度なダイエットなどが原因で不足しがちです。

貧血や倦怠感をよく感じる場合は、鉄不足に陥っている可能性があります。

そこで今回は、鉄不足による体調不良や鉄を補うための食事方法をご紹介します。

栄養バランスの取れた食事で鉄を取り入れ、身体の調子を上向きにしていきましょう。

鉄は、体内でヘモグロビンと結合し、全身へ酸素を運ぶ大切な働きを担っています。

体内に存在する鉄は、およそ3~5gといわれ、そのうち70%程度がヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在します。残りは、貯蔵鉄として肝臓や骨髄、筋肉などにストックされます。赤血球の鉄が足りなくなった際には、この貯蔵鉄が使われます。

鉄不足による体の不調

私たちは呼吸することで酸素を体内に取り入れ、血液中のヘモグロビンにある鉄によって、酸素が全身に運ばれていきます。

鉄が不足すると、ヘモグロビンが減る、つまり赤血球の数が減少するため、体内への酸素供給が十分に行われない状態となります。そのため体内は酸欠状態となり、さまざまな不調を感じやすくなるのです。

この状態を「鉄欠乏性貧血」と呼びます。具体的な症状は、貧血や集中力の低下、頭痛、食欲不振などです。また、筋肉中に存在する鉄のストックが減ってしまうことで、筋力低下や疲労感といった症状も起こります。

女性は、鉄の摂取が足りないことから、鉄欠乏性貧血の症状が出やすく、また「隠れ貧血」にも要注意です。

血液検査では、血液中の鉄分量は測定されますが、貯蔵鉄がなくなっていても分からず、貧血の診断を受けません。隠れ貧血とは、この貯蔵鉄がなく貧血になる手前の状態です。

18~64歳の女性は、1日の推奨摂取量が6.5mgですが、実際の摂取量は少ないことが有名です。働く女性のアンケートでは、不定愁訴を訴える女性が多く、鉄の推奨摂取量と比べると92%が不足していることも分かっています。

参考:まるのうち保健室 働き女子白書(2016年度版)

以下の症状が現れると鉄不足が疑われます。

  • 体が疲れやすい
  • だるさを感じやすい
  • 顔色が悪いとよく言われる
  • 頭痛が頻繁に起こる
  • 食生活が偏っている
  • 常にダイエットをしている
  • 座ったり、横になると足がむずむずする、痒くなる、ぴりぴりと痛みを感じたりする

その中でも、鉄不足の主な症状を2つ説明します。

貧血

日本人女性は10人に1人、特に20~40代では、月経があるため5人に1人が鉄欠乏性貧血と言われています。

女性は毎月の月経で、20~140mLの血液が身体から失われます。そのため貧血になりやすく、月経の前後で体調が悪化する人や、立ちくらみ等を感じることが多くなります。

倦怠感

鉄は体内で酸素を運ぶ役割をしているため、鉄不足になると、身体全体に酸素がまわらなくなってしまいます。そのため酸素不足による倦怠感を招きやすくなり、やはり月経の前後で体調が悪化する人が多くなります。

倦怠感のほかに、息切れや頭痛、立ちくらみなども起こりやすいため、食事やサプリメントなどから鉄を積極的に摂取することをおすすめします。

鉄不足を補うためには、毎日の食生活に鉄を含む食品を摂取することがおすすめです。特に、女性は月経で血液を失ったり、妊娠すると血液を通常よりも多く補う必要があります。

一般的によく知られている食べ物は、レバーや赤身の魚、ほうれん草、納豆などです。他には、しじみやあさり、大豆製品にも鉄分が含まれています。

食事で摂取する鉄は、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類に分類されます。

「ヘム鉄」は、動物性の食品である肉や魚に多く含まれ、「非ヘム鉄」は、大豆や野菜などに含まれています。それぞれの体内吸収率は、「ヘム鉄」が10~20%程度、「非ヘム鉄」は2~5%程度と言われ、食べた分が全て吸収されるわけではありません。そのため、摂取目安量よりも多めの摂取を心掛けることが必要です。

〇〇と一緒に食べて吸収力UP

鉄は、ビタミンCと一緒に摂取することで、鉄の吸収率アップに繋がることが分かっています。料理の最後にレモンを絞ってかけたり、ビタミンCが豊富なカラーピーマンやブロッコリーを食べ合わせるとよいでしょう。

また、「タンニン」との食べ合わせを控えることも大切です。タンニンは、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれる苦味成分で、鉄の吸収を阻害してしまいます。食事の際には、水や麦茶などタンニンを含まない飲み物に変えることを心掛けてみてください。

また、鉄製の鍋やフライパンで調理すると、調理器具から鉄が溶けだすので食事で取り入れることもできます。

鉄は身体の調子を整えるための重要な栄養素です。特に女性は、月経などで血液を失う機会も多いため、積極的な摂取が必要になります。

しかし、生活の中で常に意識して鉄を積極的に摂取することは、なかなか難しいかもしれません。そんな時は、サプリメントや鉄の配合を強化した食品を摂ることでも、補うことができます。

自分のライフスタイルに合った鉄の補給方法を見つけて、取り入れてみてくださいね。